
2002年6月16日(日曜日)
結局、昨年のミュージカル「LOVEセンチュリー」のDVDを入手しないまま、やって来てしまいました。
青山劇場。
くじ運悪く最後列での観覧となってしまいました。
今年は2部(ライブ含めて3部)構成になった、モーニング娘。のミュージカル、題して「モーニング・タウン」。
非常に楽しめた部分と、不満に思う部分が錯綜しています。
まずは、第一部からレポートを開始しましょう。
本来はパンフレットの記述にいちいち従うべきでしょうが、ここは敢えてボクの言葉で書かせて下さい。
第一部「行け!夢ヶ丘商店街」
出演者
安倍(団子屋の娘):安倍なつみ
吉澤(八百屋の娘):吉澤ひとみ
加護(食器屋の娘):加護亜依
高橋(工務店の娘):高橋愛
新垣(呉服屋の娘):新垣里沙
飯田(ドーナツ店のアルバイト):飯田圭織
団子屋:長江健次
飯田の友達・アヤカ:アヤカ(ココナッツ娘。)
パティシエ・ミカ:ミカ(ココナッツ娘。)
石井先生:石井リカ
料理評論家・あつこ:稲葉貴子
あらすじ
夢ヶ丘駅北口にある「夢ヶ丘商店街」にも、不況の風は吹き荒れていた。
吉澤青果店、加護食器店、高橋工務店、新垣呉服店など、銀行のすすめにより店舗を売却して借金返済にあてる店が続出。商店街に活気は薄れ始めていた。
それらの店の娘たちはみんな幼なじみ。でも、もうすぐ引っ越しでバラバラになる運命。
吉澤は、高校のバスケット部でインターハイに出る夢をあきらめきれず、引っ越しに反対する。
加護は、制服の可愛い私立高校に進学したいと希望しているが、家の経済状況が気になる。
高橋は、トランペットの才能を認められ高校に推薦入学の話が来ているが、入院中の母の看病を思うと全寮制のその学校への入学に二の足を踏む。
新垣は、デザイナーの勉強をしたいと思っているが、やはり家にお金がない・・・
そんななか、大きくはないが堅実な経営をしている「団子屋・安倍」だけは借金も作らず、細々と商売を続けていた。
父一人子一人の安倍家、娘のなつみは、やはり経済的な不安から大学進学をあきらめバイトの毎日。しかしケーキ職人(パティシエ)の夢絶ちがたく、上京して勉強したいと望むが、父を残して家を出られないと悩んでいる。
彼女たちが出入りするドーナツ店には、将来の目標を持てないまま、なんとなく料理の専門学校に通う飯田がアルバイトしている。
彼女たちは安倍にパティシエへの道を開くべく、父の団子屋をケーキ屋に改装させて跡を継がせようと画策。
飯田の友人・アヤカの紹介でパティシエ・ミカとの「負けたらケーキ屋に改装する」という条件でのお菓子対決に持ち込むが、頑固な父は決して改装を認めない。
が、父も娘が上京しない理由を知り、銀行に融資を申し込む。
一方で安倍も、父のこだわる和菓子・特に「あんこ」を洋菓子に応用する方法を思いつき、モンブランにあんこを合わせた新製品「あんブラン」を開発。銀行の融資を勝ち取る。
夢ヶ丘を去る4家族の最後の仕事として、高橋工務店が安倍家の改装を、吉澤青果店が材料の調達を、加護食器店が食器類の購入を、新垣呉服店がユニフォームの制作を(なおデザインは娘・里沙が行った)分担し、手作りの新店舗が完成つつあった。
しかし店のオープンの日が吉澤・高橋・新垣の引っ越しの日(加護家は駅一つ向こうという近場への引っ越しなのだ)。店の完成は、お別れへのカウントダウンでもあった。
正式オープン前日、プレオープンの日。飯田を含めた6人の娘たちはユニフォーム姿で料理評論家あつこを迎える。しかし、彼女は雑誌掲載をネタに金をだまし取る詐欺師だった・・・
ドタバタが過ぎ、ふと気がつくと、旅立ちの時間。自分たちの手で作り出した「ふるさと」、「あんブラン」に別れを告げる娘たち。それぞれの夢に向かって、夢ヶ丘を旅立っていくのだった。
ストーリー、音楽について
第二部に比べると、「物語」にはなっていたと思います。かなり「ベタ」ですが、ボクはこう言う単純明快なストーリーは好きです。
ストーリーの軸が「なつみのパティシエの夢を叶えよう」という幼なじみたちの奮闘から、いつの間にか仲間たちの別れ、旅立ちに移行していくのは、うまい脚色だと思いました。
娘。たちの演技については後に譲るとして、お父さん方のキャラクター立ての面白さが印象的でした。
コメディリリーフとなる、テンポの遅〜い食器屋の店長(加護の父)は、娘同様、舞台のテンポをうまく引っかき回し、場をなごませてくれていました。
そしてやはり長江健次さんでしょう。
さすがは欽ちゃんファミリー。ボクはただ1度しか観覧していないので「どこがアドリブか」は断言できないのですけれど、絶妙のタイミングで笑いを持っていくセンスはさすがです。
「パティシエだかトルシエだか知らねぇけどな」
などなど・・・数え切れないほどでした。
さて音楽ですが、オープニングの「夢ヶ丘ステーション」は娘。は歌わないものの耳に残りますね。
その他の歌では「うまくいかないな」などで感じた高橋の歌のうまさと、新垣の声の強さ(この娘。の場合はまだ技術的に云々じゃないですが)。
そしてラストでしつこいほど繰り返される「さよならMy Town」及び「さよならMy Friends」です。
曲もなかなかですし、そのシチュエーションも泣かせるし(ボクも引っ越しの経験があるもので)、後は歌の技術的にはなっちのフェイクですね。聞かせます。
昨年の「LOVEセンチュリー」のような、はっきりした主題歌がないのが残念ではあります。
メンバー別コメント
安倍なつみ
第一部の主役です。つんく♂の言う「マザーシップ」ですし、当然といえば当然です。
これまでのテレビでの演技を見ても、最も「演技力」を感じますし(これは技術的な意味です。存在感という観点では、ボクは昨年の「マリア」をはじめとして後藤真希が一番である、と感じています)。
でも彼女が輝けるのは、やはりテレビの中だけなのかな?
ネット上で喧しく飛び交っている、彼女の吹き出し問題。
アドリブギャグに対して本気で吹き出してしまい、それはまだよいとしても、なかなか「舞台の雰囲気」に戻ることが出来ず、笑い続けてしまうこと。
これはボクが見た6/16昼公演でもしっかり見ることが出来てしまいました。残念なことに。
そして共演の俳優さんから「笑うなよ」とおしかりを受けてしまう始末。
テレビドラマでは、「カット、テイク2!」が出来るんです。
ミュージカルでは出来ません。
高橋愛がテレビで、その難しさに対しての緊張感を語ったことがあったと思いますが、何故か「マザーシップ」である彼女がこのエラーを繰り返してしまうのです。
突発的な事故であれば、もちろん誉められたことではないですが、許せるでしょう。
またしてもボクの好きな野球に例えますが、飛んできた打球がイレギュラーして内野安打を許してしまったベテラン遊撃手に対して、「この次きちんと抑えてくれればいい」と感じることはあるでしょう?
でも彼が、次の日も、また次の日も平気でファンブルし続けたら、客はどう思うのか。
そう、「客はどう思うのか」。
決して安くはない料金を払って、中にはボクのように頼まれもしないのに大枚はたいて九州くんだりから出てくる人間もいるのです。
「素の」なっちを見られて嬉しい、という人もいるでしょう。
しかしそんなものはライブなど他の機会にも見られます。
ボクが見に行ったのは、ミュージカルだったはずです。
それも、地理的・経済的な問題から、2度も3度も繰り返すことは出来ません。一発勝負です。
「あ、今日はこの前と違ってこんなところでなっち笑っちゃった。かわいいね、えへへ」ですまない意気込みで見ているんです。
1部出演の全メンバーに言えることではありますが、「モーニング娘。」である自分と、演じている「夢ヶ丘商店街」の住人というキャラクターの境界線が甘いのではないか?
だから、笑うべき所ではないところで笑っても、自己批判の必要性さえ感じていないのではないか?
「自己」批判できないのであれば、誰かに注意してもらえばいいのでしょうが、もしかしてなっちは、監督やその他スタッフにまで「お姫様」扱いを受けている恐れさえあります。
国民的アイドルだからそれだけで客は呼べます。叱ることで(本当になっちがそう言う反応するかどうかは別問題として)もしなっちの機嫌を損ねてしまったら・・・
腫れ物に触るような扱いを、周囲が彼女に対してしているとしたら・・・。
非常にきつい文体になってしまいましたが、これが「一発勝負」で見に行った者の意見なのです。
こちらがやり直しがきかないのだから、演じる側もそう感じて欲しいと思います。
なっちは、前述したように「歌」でボクを感動させてくれた出演者なのだから、特に期待を込めて書かせていただきました。
(追記)
このレポートを書いてから公開するまでの数日間の内に、安倍なつみさん自身がラジオ番組で「毎回同じ演技だけれど、一回一回に心を込める」といった主旨の発言をしてくれたそうです。
ボクは直接聴取できなかったのですが、彼女自身がそう言う心構えでいてくれているのが解って嬉しく思いました。
しかし、上記の感想は当日のボクの偽らざる気持ちですので、考えた末、そのまま掲載させていただきました。
ボクの観覧した日以降にミュージカルを観覧し「ちゃんと出来ていた」安倍なつみさんをご覧になった方にはご不興を買うかも知れませんが、その点ご容赦下さい。(2002/6/26)
吉澤ひとみ
なっちの「失敗」の原因でもあるのですが、このミュージカルは(やはりというべきか)演じている本人に合わせたキャラクターを娘。に演じさせています。
だからこそ一部で、演技やキャラクターに対しての批判が出ると、それに対して「メンバーに対する擁護」という論旨の違う反論が出て来たりもするようですが。
そんな中でよっすぃ〜の演技を見ますと、これがまた「一般客が見たよっすぃ〜」を演じさせられている感じがします。
バスケット(よっすぃ〜本人はバレーボールですが)の名手でインターハイを目指す、言葉遣いがちょっと男っぽい少女・・・。
またか、と感じても仕方ないですよね。
しかもその設定がストーリーにさほど生きているとは思えないし。
まぁ、写真集(「よっすぃー。」および「CHAIN! CHAIN! CHAIN!」)でも感じたことですが、彼女は何をやらせても「よっすぃ〜」にしてしまう「懐の深さ」は持っていますけれども、どうせならもっと「演じないとやっていけない」キャラクターを演じさせてみたらどうだったのかな。
成功するかどうかはやってみないと解りませんが、例えば加護ちゃんがやったような「しゃべりの遅いキャラ」とか。「女っぽいキャラ」とかね。
第一部全体がそうなんですけれど、それぞれのキャラクターの印象が薄いんですよ。
もちろん、よっすぃ〜もその一人です。残念ですけど。
5人が「幼なじみである」以上の存在価値を持たせられなかった、脚本の責任かも知れませんけどね。ボクは最後列から見ていますから、はっきりとしたキャラクター付け、演技をしてくれないと心には残りません。
そして、そんな客が毎公演、数十人存在していることを、彼女たちには忘れて欲しくないと思います。
加護亜依
それにしても器用な子ですね。
この子は下手なコトさせると、何でも「加護亜依キャラ」にしてしまうから・・・その点、よっすぃ〜と同じですが・・・敢えて色んな設定を与えてみると、それをこなしてしまう能力は持っていると思います。
まぁそのせいで「伸び悩む」危機も抱いていますけれども・・・。
今回の「しゃべりが遅いキャラ」は、明らかに素の加護亜依に対する「アンチ加護亜依キャラ」として設定されたものでしょう。
アルバイトの飯田に対するツッコミや、ラストシーン、時にアドリブ(らしいのですが一回勝負ですとよく解らない)まで交えてコメディリリーフの役目をしっかりこなしていました。
面白さという観点では「お父さん」の方がもっと上でしたけどね。
確かにこの状態でも、娘。ファンは笑ってくれるでしょうし、実際ボクも笑いました。
ですが「お父さん」は本来、加護ちゃんの引き立て役になるべきなのですよ。
それが「お父さんの方が面白い」と感じてしまうのは如何なものかと。
しゃべり方をもっともっと、徹底して遅くするとか、現時点でも受けているから、という考えを越えた貪欲さを見せて欲しかった気がしています。
高橋愛
「MUSIX!」の「Angel Hearts」を見ても、この子は本当に才能があるな、と感じさせられますが、ステージでも、初めての舞台演劇であることを差し引いても、ちゃんと声が通っているし(この辺はコーラス部での稽古の成果ですね)、セリフも聞き取りやすいし、歌に到ってはソロ部分の力強さには感嘆させられます。
今回はこの程度かな・・・話題の「メガネ」も最後列では双眼鏡を使っても見えませんでしたし(だから小道具に頼ったキャラ作りは意味をなさないのですよ)。
設定された「工務店の娘」自体のキャラクターが薄いので。
ただし第二部においては「ただのハンバーガーショップの店員・店長」というだけのキャラクターがあそこまで濃くなったんですよね。それを見ておいて欲しいな。
素材の良さを感じられたので、来年以降に期待ですね。
新垣里沙
大まかには高橋と同じ感想ですが・・・一応、5期メンバーでは一番、彼女を応援したいと思っているので、ちょっと贔屓目も込みで書き込んでおきたいと思います。
まぁ、5人の幼なじみの中でも最も存在感が希薄な設定ではありました。
別にいてもいなくてもいいし。
そんな中、キャラクターを作り込もうという気概だけは伝わってきました。
その際たる部分が、「あんブラン」プレオープンの日の夜、つまり夢ヶ丘とのお別れの日の彼女の演技です。
新たな「ふるさと」となった和ケーキ店「あんブラン」を、夢ヶ丘を去る3人(吉澤、高橋、新垣)が見つめるシーン。新垣があんブランの柱を、実に愛おしそうに撫でるんです。
その瞬間、新垣里沙は「モーニング娘。」ではなく「呉服屋の娘」だったと、ボクの目には写りました。
自分のセリフがないタイミングでの娘。の「待ち姿勢」が話題に上りますが、第一部はその「待ち」タイミングが非常に多かったと思います。
基本的にストーリーは「団子屋の娘」だけを中心に回るのですから。
そこで、出番の少ない新垣はやたらと待たされることになるのですが、「待ち」はちゃんと出来ていたように見えました。
後は歌なんですけれど、「JUNON」別冊「Girls Up!」で「ボーイソプラノ」と表された独特の声での、意外にも強い歌声は印象的でした。
技術的には既に場数を踏んでいる先輩や、発声方法をマスターしている高橋には及んでいないのですけれども、気概だけはしっかり伝わってきました。今後の成長を楽しみにしたいと思います。
(よい席で見た友人からは「表情がすばらしい」との声が聞かれています。顔が見えなかったことは本当に残念ですが、上記の通り「手の仕草」も表情なのですから、ボクにも伝わってきていると言うことですね)
飯田圭織
リーダーを最後に回してしまいました。
彼女は堅実に役をこなしていたと思います。
最近は「美少女教育2」での司会役も引き受け、以前からの「タンポポ編集部 OH-SO-RO!」に次いで二つ目の「仕切り役」を仰せつかっている彼女。
まだ完全とはとても言えませんが、周りで繰り広げられるハプニングに対して対処しようとする姿勢は見えています。
観客が最初に大笑いしたのは、ドーナツ店での「ノリツッコミ」でした。少し噛み気味ではあったと思うのですが、「ボールを後ろに逸らさず前に落とすことで、ファーストに間に合う」程度のエラーだったので許せるかな?(また野球ネタですみません)
長江健次さんをはじめとして、舞台を盛り上げるために笑いを積極的に起こしに行く共演者の方々に負けないように対処するのは大変です。
彼女も本来はそれに適切に対応するのは苦手だとは思いますし、だいぶん場数も踏んだのだから、もうちょっとうまくてもよいかな?とは思います。
役柄的には、もっと見せ場を作ってあげたいと思いました。
「堅実」故に、影が薄くなりがちなんですよね。「幼なじみ」5人組からはみ出した設定であった事は、本来はもっと「美味しく」出来上がってよいはずだと思うのですが?
稲葉貴子
いいのか、それでっ!?(笑)