2002ねん8がつ17にち。

24時間テレビ・ドラマ「父さんの夏祭り」。

昨年に引き続き、24時間テレビのパーソナリティを勤めることになったモーニング娘。
色々と見所はありましたけれども(なっちと難病の女の子との交流はマジで泣けたし、去年登場したたっくんとごっつぁんの再会もよかったし、ニィニィはちょっと不憫だったけれども、富士登山頑張ったし、ヒッパレは相変わらずボクの逆鱗に触れたし)、やはり石川梨華推しとしては、ドラマを外すわけには行きませんね。
昨年の、なっち主演「最後の夏休み」での脇役に続き、2年連続での出演となった梨華、今回は主演です。原作者・森脇佐和子さん役です。
脇を固めるのは、先輩(何と歯科助手!)に矢口真里、妹役に加護亜依、というタンポポタッグ(圭織がいないのが残念ですが)。
本来の主役・末期ガンに冒される佐和子の父・捷治役に渡辺謙さん。彼はご存じの通り、白血病から復帰なさった方です。その経験を生かしての演技が期待されます。
母・由紀子には風吹ジュンさん。このお母さん役がよかったなぁ。年齢のわりに(ごめんなさい)「可愛い」女優さんで、ボク自身好きな方なんです。本当に梨華と血が繋がっていそうな美人です。
しかし遺伝子という意味では、姉妹の肌色が違いすぎる気が(爆死)
佐和子の恋人役に、ドラマ「最後の家族」ではあややの兄だった吉澤悠・・・ちきしょう、羨ましいじゃネェかなんて個人的感情はとりあえず置いておきまして。
ドラマの感想に入っていきますね。

まず、去年の「最後の夏休み」は文句無しに泣けました。
なっちの(時折、ちょっとわざとらしくなっちゃうんだけど)堅実な演技、そして脚本の成果もあるでしょうし、なんといってもなっちが死ぬという、ヲタならではの勘違いな感傷もありまして。
それはともあれ、ドラマ直後に徳光和夫さんが号泣していた、というのが、一つの客観的評価になったりするんですね。
では、今年はどうだったか?
徳光さん、泣いてない!
上田馬之助に泣く男・徳光和夫が泣きませんでした。
さて、昨年と今年のこの大きな差はどこにあるのでしょうか?
棒っ!?
なんて直接顔見て言えない!(Fight!)

「最後の夏休み」を振り返って、泣けた理由を考えてみますと。
最後になっち(じゃなくて、主人公の子なんだけど(^^;)が死んでしまうことが解っていて、冒頭のシーンを見ると、高校生役のなっち・梨華・圭ちゃん(保田さんもですか!?)との、もうのーてんきとしか言い様のない明るい交流が、とっても重く心にのしかかって来るんですね。
今年はというと、冒頭にそういう、どちらかというと明るいシーンがあるんですが、それは梨華と恋人とのふれあいに集中してしまっていて、「一緒になって笑える」シーンだったか?後半で思いだして泣けるようなシーンだったか?というと疑問が残ります。
そう、今年は主人公・梨華には交際中の恋人がいます。昨年も、なっちが心を寄せる男性がいて、最後になキスをねだるシーンがあるんですが(全国のなっち推しが騒然としたという・・・)、ほとんどがプラトニックな描写に終始していました。
今年の場合、最初から梨華の演じる佐和子が夜中に抜け出して彼氏に会いに行き、もう抱きつくわバイク二人乗りで突っ走るわキスねだるわ(吉澤悠死なすっ!・・・いかんいかん、冷静に・苦笑)、しまいにゃ駆け落ちしちゃうわと大暴れ。
ドラマ後半では、父のために「関西キューバンボーイズ」再結成を画策する佐和子に協力したえなりに、病院という場所をわきまえず抱きつくシーンまであって(えなり、激死なす!・・・いやいや、理性的に理性的に・苦笑)。 今年のドラマが泣けなかった理由の一つ。「命の尊さ」をメインテーマとして訴えるドラマにしては、「描写がセクシャル過ぎる」。
それはなっちと梨華、という演者の違いと言ってもいいでしょうし。
台本、演出の味付けの差とも言えましょう。

ドラマ冒頭は、回想シーン。
父・捷治がバンドマンだった若き日のシーンです。
母・由紀子とのデートで(詳細については、後ほど本人たちの口から語られますが)バンドの公演に遅れた捷治。若作りの二人がちょっときつかったりするのですが(苦笑)、これはラストシーンへの大事な伏線です。
続いて現代の描写。父の目を盗んでデートに出掛ける佐和子。

「恋という字は、『変』という字に似ている。」

このシーンで、ナレーションを入れているのは、加護ちゃんの声でした。
最終的に解るんですが、このナレーションは「ドラマ終了時点」から、過去を振り返る形で述べられているんですよね。
「異常に淡々としすぎている」という感想も聞かれましたが、これは演出であろうし、加護ちゃんのしゃべり方も問題はありませんでした。
で・・・結局、目立つキャラクターが3人出て来るんですよね。
主役である佐和子=梨華、ドラマの中心である父・捷治=渡辺謙、そして加護ちゃん。
非常に感情移入しにくい形ですね。
視聴者は、誰を中心にドラマを見ればよいのか、目移りしたんじゃないでしょうか。
まぁボクにはその心配はありませんが。
更にモーヲタは大変ですよ、矢口が可哀想だとか加護ちゃん可愛いとか、歯科助手矢口を雇いたいとか、目移りしまくりなんですから(最後のはちょっと変ですが(^^;)。
泣けなかった理由、その2。「中心人物がハッキリ仕切れなかった」。
確かに、実話を元にしたドラマは難しいですね。
下手な脚色をするわけにはいかないし。
ドキュメンタリーならいいんですが、それをドラマにした場合、「実話」を正確に視聴者に伝えることを優先するか、ドラマとしての面白さを優先するかの路線で、見る側の印象は大きく違います。
24時間テレビの場合は、あくまで前者の立場を取らざるを得ません。ドラマ終了後、あの徳光さんが泣いていないなか、当事者である原作者・本物の森脇佐和子さんだけが泣いていたことが象徴的と言えますが、事実関係をそのまま忠実に伝えただけで、当事者以外の人間に感動を伝えられるか?
そう考えると、昨年の「最後の夏休み」は奇跡的名作だったんですよね。

そしてドラマのラストでは、困難を極めた関西キューバンボーイズの再結成が成り、病院の夏祭りの日に再結成公演を行うことになります。
病室で衣装に着替えた捷治は、由紀子との最初の出会いの時のように「ほな、行って来まっさ」の声と共に舞台に向かおうとして倒れ・・・そのまま息を引き取ります。
舞台で演奏されている曲目は、冒頭の回想シーンと同じもの。やはり捷治のいないままで演奏され・・・冒頭では次の曲に捷治が間に合うわけですが、この「夏祭り」の公演は、最後までドラム無しの演奏で終わってしまうことになるのでした。
「Over the rainbow」の明るい曲が、哀しいシーンを彩る、映画音楽でいう「コントラプンクト」の技法で飾られたこのシーンですが、もうちょっと引っ張ってもよかったかな?あっさりしすぎて「無くヒマがなかった」のが実際ですね。

さてさて、ドラマ及び演出の事情はこの辺にしますね。
なんだか梨華の弁護をしているような気がしてきたので(笑)
改めて、梨華の演技に目を向けることにします。
彼女の演技の最大の魅力は感情移入で間違いないと思います。
その場その場のシーンで、「佐和子」というキャラクターがどんな感情なのかを考えて、きちんと表現しようとしているのが伝わります。
そして、その副作用がなんですね。
一言一言をハッキリ伝えようとするあまりに、不自然さが目立ってしまうんですね。
以前から述べているように、正確には梨華のイントネーションは「棒読み」、つまり感情のないセリフ読みではなく、わざとらしすぎるんです。
それが、各場面場面に「そぐわない」セリフ回しとなって現れることがあります。
今回で一番ハッキリするのが、病院の廊下でのシーンです。
普通、そんな場所であんなに大きな声でしゃべる人間なんていないんです。
特に、電話で恋人との別れ話を、病院の廊下であんな大声でしゃべる人がいてたまりますか(笑)
このセリフ回しは、しかし舞台では映えるんですよね。
ちょっと大仰すぎる口調が、劇場の最後列の席までビンビンに感情を伝えてくれたことは、ミュージカルのレポートをご参照下さい。
でも、この「テレビドラマ」という場では、どちらかというと自然さが要求されるわけで、そうなると梨華の演技力は、まだまだ批判されてしまうのも、仕方ないですね。ううむ。
そう言う意味ですと、矢口ちゃんの「パーソナリティしゃべり」というのも同じ穴の狢なのですが、場数の差でしょうか、やはり多少安心してみられます。

感情移入という意味で、もうちょっと期待できるかな?と思っていたのが表情なんですが・・・
もうちょっと「種類」が増えた方がいいかな。
例えば、「笑顔」といわれると、一種類の笑顔しか出て来ていない気がするんですよ。
前半で見せる、恋人とのデートのシーンでの笑顔。
昔のバンドマン時代の父の写真を見てほほえむ笑顔。
バンド再結成のめどが付いてえなりに抱きつく笑顔。
病状が悪化した父の病室で、家族が団らんするときに見せる笑顔。
ほとんど、差がないんだなぁ。
例えば、恋人に見せる笑顔はもっと利己的で、セクシャルな笑顔でいいし。いや、もっとはにかんだ笑顔でもいいかも知れない。
昔の父の写真を見るシーンでは既に父が倒れているのだから、「満面の笑顔」というのは違うと思うし。
同様に、病室では「無理して笑っている笑顔」という匂いをもっと感じさせてもよかったと思います。

一番、梨華がいい表情を見せたな、と思ったのは、かなり前半のシーンですが、佐和子が駆け落ちするきっかけになった父・捷治との言い争いのシーン。
あの「ぶーたれた」表情。
これだけは評価してもいいかなと思うんですが・・・
「演技」じゃなくて「素」だったなんていわないでね(笑)

表情という意味では、最高だったのが加護ちゃんです。
絶品なのが、父の病気のことを初めて姉から告げられるシーンです。
それまでのお澄まし優等生シーンの演技がよかったせいもあるし、(このページの最初にも書きましたが)淡々としたナレーションがよかったせいもあるんですが、このシーンでの動揺して泳いだ目に、天才を感じました。
あとは、ラストシーンで、鏡の前でメガネを直す姿。
めっちゃキュートです(笑)

梨華の場合は、「天才」はないのかも知れませんけれど、感情移入した「感情」を、典型的すぎるほど典型的に、素直に伝えようとしすぎなのかも知れません。
もっと「感情」で演技してもいいのかな。いい意味で「遊び」があった方がいいのかな。

愛という字は、心という字が真ん中にある。


では、おまけです。
無き父に代わって朝食を作る梨華。
その朝食を「まずい」からと食べることを拒否する加護ちゃん!
これでどうやって泣けというのだ(爆笑)


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