KAMIKAZE TAXI
1994/ビスタサイズ
(99/10/9 V)
脚本・原田眞人
撮影・阪本善尚 照明・椎原教貴
美術・丸山裕司 音楽・川崎真弘
監督・原田眞人
保守系大物政治家(内藤武敏)とその配下のヤクザの組長(ミッキー・カーチス)に愛人を殺された青年(高橋和也)は復讐のため昔の仲間を集めて政治家を襲撃し裏金を強奪するが、組に追いつめられて仲間を失う。更なる復讐ため偶然知り合った日系ペルー人2世のタクシー運転手(役所広司)と行動を共にするうち、奇妙な連帯感が生まれてゆく。
ビデオではパート1、パート2それぞれ100分という超大作の社会派アクションロードムービーで、役所広司の出世作。
その昔は「おニャン子・ザ・ムービー・危機イッパツ!」(けっこう快作)とか「ガンヘッド」(嬉し恥ずかし)といった作品も手がけていた原田眞人が何故か社会派監督に変身してしまうきっかけとなったのもこの映画ではないだろうか。
物語の骨格だけを紡いでゆけば、2時間程度の上出来のアクション映画になる脚本だが、青年とタクシー運転手の旅路をたっぷりと脇道に踏み込みながら綴ってゆき、ところどころに登場人物たちの架空インタビューまで挟み込む手法で、青年とタクシー運転手の二人にとってのKAMIKAZEの意味が浮かび上がってゆく。
ことにその部分が明瞭になってゆくパート2の後半が圧巻で、日本とアメリカが、日本とペルーが時間と空間を超えて織りなす舞台空間の中で、日本の戦後が、暴力の意味が問い直されてゆく雄渾ぶり。
阪本善尚の流麗なキャメラワークが低予算のVシネマを全く感じさせないし、かつての左翼インテリ役者内藤武敏が正反対の右翼系政治家を憎々しげに巧演する。役所広司の力の抜けた演技も素晴らしいし、奇跡のカムバックを果たした元岡本喜八組のミッキー・カーチスの軽妙な風情ももちろん捨てがたいのだが、やはり内藤武敏の天晴れな悪役ぶりに敬意を表しておきたい。