日本黒社会

1999/ビスタサイズ

(99/9/11 V)

脚本・龍 一郎

撮影・今泉尚亮 照明・白石成一

美術・石毛 朗 音楽・遠藤浩二

監督・三池崇史

 中国人と日本人の間に生まれた兄弟(北村一輝、柏谷亨助)とその親友(田口トモロヲ)は、ベトナム人(大杉蓮)が経営する工場を襲い、金を奪うと故郷を捨てて新宿へ逃げる。そこで中国人娼婦アニタ(李丹)と出会い、トルエン密売の仕事をはじめるが、上海マフィアのボス・ウォン(竹中直人)の不興を買うことに。日本脱出を決心した彼らはウォンの店を襲撃し、現金を強奪するが・・・

 正月公開の「サラリーマン金太郎」の監督も決まって相変わらず精力的な三池崇史だが、近年の作風を見ていると、初期の技巧派のアクション映画監督というイメージを意識的に払拭しようとしている節が見受けられる。

 もちろん傑作「喧嘩の花道」などに見られるように青春映画作家(?)としての一面も見逃せないのだが、「岸和田少年愚連隊・望郷」などにも明らかなように正統派アクション映画の作り手からどんどん遠ざかってゆく近年の活躍には個人的には少々寂しさを感じないではいられない。

 今回の新作もアクション映画と言うよりは青春映画そのもので、日本脱出などという60年代の日本映画的なモチーフを導入して、ただしそう願うのが生粋の日本人ではないという点に三池崇史の企みがあるのだろう。

 しかし、青春映画として観ても、おそらく脚本段階での見極めの甘さが払拭しきれておらず、生粋の日本人でもなく、日本で生きることをあらかじめ覚悟した外国人でもない中途半端な自分のありかたを探る試みとしての物語が十分に成立していない。そのことは、北村一輝の特異なキャラクターを生かし切れなかったことにも現れているだろう。

 大胆な色彩設計による今泉尚亮のキャメラワークの意気込みは特筆に値するが、クリストファー・ドイルのようにならないように注意したほうがいいと思うぞ。フィルターによる着色なんて技法は、個人的には安易すぎて容認したくない。

 今回のような単純極まりない物語に平気で105分を費やしてしまう近年の三池崇史のあり方に危機感をいだくのは私ひとりなのだろうか?少なくとも「喧嘩の花道」までは100分を超える作品は撮っていなかったはずなのだが。

 あ、それと大杉漣、田口トモロヲの顔もそろそろ見飽きたなあ。Vシネマも役者の幅をもう少し広げたほうがいいと思うぞ。
 

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