学校の怪談G
1998/スタンダードサイズ/ビデオ撮影
(98/10/8 関西テレビ)
構成・小中千昭
音楽・ゲイリー芦屋、冷水ひとみ
撮影・柴主高秀 照明・渡部 嘉
「食鬼」
脚本・小暮 宏、前田 哲
監督・前田 哲
「木霊(こだま)」
原作・網野成保 脚本・高橋 洋
監督・黒沢 清
「片隅」「4444444444」
脚本&監督・清水 崇
アニメ
作&演出・角銅博之
「食鬼」は明らかに水準以下で、観ていて辛いものがあったが、清水崇の演出作は鶴田法男や石井てるよし等の恐怖演出の忠実な実践者として、ただ怖がらせることだけに精力を傾注して、成功している。「片隅」の化け物のグロテスクな質感、「4444444444」での妖怪(?)の意表を突く造形と演技付けなど、長編作品の中で生かされることを期待したい。ただ、鶴田法男よりも石井てるよしの方に近いのが、少々不安だが。
問題は、高橋&黒沢のお友達コンビによる「木霊」であろう。
前作「廃校綺譚」からさらに前衛化しており、実際物語は理解不能に近い。ラストに登場した例のアレは、本気なのか、冗談なのか、もはやその判別すらつきかねる。
基本的に校内を徘徊する魔物の姿は見えない。ただし、その存在を明示するために、超能力を持つ少女の主観として校内の略図の上を黒い塊が移動する様子をまるでレーダーのように示し、魔物の接近をサスペンスに結びつけようとする。
また、見えない魔物の暗躍を「風」として表現し、至る所に取り付けられたカーテンが不吉に揺れ、あるはずのない場所で木の葉がそよぐ。
主人公の超能力が木霊を呼び覚ましてしまったらしいという、ある程度の仄めかしはあるものの、木霊とは何なのか、何故木霊が人を襲うのか、なぜ木霊の姿が例のアレなのかといったことを明らかにしないのは高橋洋お馴染みの手法ではあるのだが、いつものように亡霊そのものが現れる場合と異なり、今回は謎の扱い方に不備があったのではないだろうか。
もちろん、薄いベールやカーテンといった不透明な幕の持つ、空気の流れを可視化し、視覚の世界に風を生み出すという機能に着目し、兼ねてからいたるところに風を吹かせていた黒沢清のことだから、姿なき魔物に風という属性を付与してみせたのは驚くに当たらないだろうが、端的に言ってしまえば、ベールの向こうに人影が現れて徐々に接近してくればそれは確実に怖いが、ただ、そこにベールが風に揺れているだけで恐怖を感じることができるか、ということにかかってくる。
ベールの影から人影さえ消えた、そうした「見えない恐怖」の世界に黒沢清は足を踏み入れてしまったのだろうか。