ウルトラマンコスモス
シリーズ構成/江藤直行 技術監督/大岡新一
音楽/冬木透
(本編)
撮影/倉持武弘,高橋義仁 照明/佐藤才輔
美術デザイナー/大庭勇人 美術/鈴木隆之
操演/村石義徳
(特撮)
撮影/高橋 創 照明/高野和男,田村文彦
美術デザイナー/寺井雄二 美術/佐々木朋哉,三池敏夫
操演/根岸 泉(#1,2),川口謙司
VSFX/田代定三
エフェクトコーディネーター/吉澤一久
3Dエフェクトアーティスト/増田英和 3Dエフェクトアニメーター/小柴 浩
CGI/渡部健司
ビジュアルエフェクト/祖父江成則,早川哲司
マットペイント/有働武史
#1「光との再会」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/北浦嗣巳
ある日、地上に降り注いだ未知の光のウィルスによって都市が壊滅する。さらに怪獣保護区に収容されていた温厚な鳥型怪獣リドリアスを狂暴化させ、東京に飛来させるが、その怪獣と交友関係を築いていた主人公ムサシがウルトラマンコスモスの力を借りて、鎮静化させようとする。
佐川和夫の特撮演出と画面構成のレイアウトが古すぎて、せっかく北浦嗣巳が演出を担当しているというのに、斬新な合成カットが見られない。映画版コスモスでは気合いの入った剛腕ぶりを発揮しているようなので、TV版はよほど予算とスケジュールが厳しいのだろう。
実際、本編の撮影はとうとうフィルムからビデオ撮影に移行してしまっており、ネオスでの実験を経て遂に英断を下した形となっている。本編で浮いたフィルムを特撮に投入したというわけでもないだろうが、ミニチュア撮影には怪獣のアクションの重厚さを狙って豪勢なハイスピード撮影が行われている。
しかし、”飛びの佐川”と異名をとる佐川和夫の飛行シーンだが、操演とカット割りによる昔ながらの飛行アクションのほうが、近年のCGとビデオ合成を用いて1カットで空間を無理矢理捻りまわした演出よりもよほど完成度が高いように思うのは私だけだろうか?
ガイアの時とは異なり、ライドメカの発進シーンもほとんどがCGによる描写に移行しているが、その完成度もむしろネオスの方が上出来で、CGの使い方事態がネオスよりも後退しているように見えてしまうのは困ったものだ。
どうも、行き先不安な幕開けだ。
#2「カオスヘッダーの影」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/北浦嗣巳
チームアイズに勧誘されたムサシはゴルメデ捕獲作戦に同行するが、怪獣の強大な力に翻弄されその目的を容易には果たせない現実を目の当たりにするが、ぎりぎりまで頑張れば奇跡はきっと起こることを力説し、現実に馴れきっていた隊員たちの諦念を揺さぶっていく。
チームアイズが怪獣保護を標榜しながら未だその成果を上げられない現実が提示され、第一話とあわせて物語の基本設定が明らかとなる今回はゴルメデの脅威が佐川和夫の力量感溢れるミニチュアワーク(といってもミニチュアらしいミニチュアは登場しないのだが・・・)で描破されたなかなかの力作だ。
青を基調とした作戦室のセットはスケール的にはかなりこじんまりとしたものだし、ビデオ撮影特有の色彩のどぎつさが目について辟易するところもあるのだが、北浦嗣巳が意地で提案したとしか思えない宇宙開発センターのシーンで窓の向こうに拡がる光景をCGによるライドメカの飛行を入れ込んで合成した贅沢なカットなど、さすがといえる。
大地を鳴動させながら進撃するゴルメデの姿を仰角で捉えてムサシと合成したカットなど定番ながらいかにも佐川和夫の特撮演出ならではのダイナミズムが溢れている。
カオスヘッダーと命名された光のウィルスによって狂暴化された怪獣に対してはコロナモードで従来どおりの激烈な戦闘シーンが展開され、ちゃんと最後にはお約束どおりの大爆発も用意されているから、旧来のファンも満足すること受け合いだ。
ただ、コスモスのファイティングポーズには未だ馴染めないのだが。
#3「飛べ!ムサシ」
脚本/長谷川圭一 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
飛行場近くに出現した怪獣スピットルは本来大人しい性質のはずだが、EYESの捕獲作戦に対して攻撃的に反抗する。自らの捕獲プランの不備のために空港を危機に陥れたムサシはスピットルが狂暴化した理由を突き止め、第2のプランを提案するのだった。それは怪獣と突発的な事故で飛行場へ不時着しなければならない旅客機の両方を救おうとする作戦だった。
実にオーソドックスというか新味のない脚本で、まるで第二期ウルトラシリーズそのものといった案配だが、何しろ気になるのは制作予算規模の小ささで、今回も本来ならカットインされるべき旅客機のコクピットや欲を言えば客室等のシーンが全くなく、せっかくの怪獣誘導作戦のサスペンスもすっかり希釈されてしまった。
ガボラ型といよりも仮性包茎型怪獣(?)とでも呼んだ方が相応しいなかなかの異形ぶりが楽しい怪獣スピットルもただやみくもに地面を隆起させるだけで活躍の場がなく、アクション演出に飽きて編集で遊んでいる佐川和夫の特撮演出も総じて低調だ。
恐らくスピットルはいずれまた誕生した子供と一緒に再登場するだろうから、その時にはきっとこのユニークな怪獣の生態が興味深く描かれるのだろう。というか、そういう展開を期待する。
#4「落ちてきたロボット」
脚本/川上英幸 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
無念、見逃した!原田昌樹の演出作を見逃すとは、猛省!
#5「蛍の復讐」
脚本/川上英幸 特技監督/村石宏實 監督/市野龍一
とある山村に自動車を喰う蛍の群が現れ、ムサシとフブキが調査に向かう。その村はフブキが幼少の頃を過ごした想い出の村だった。蛍の群の正体は産業廃棄物に取り憑いたカオスヘッダーであることが判明し、チームEYESの攻撃が始まるが・・・
犬猿の仲だったムサシとフブキが早くもすっかり打ち解けて、隊長によって「春風コンビ」というトンチンカンなコンビ名まで頂戴することになるほのぼの篇。
村石宏實が特技監督のみを担当するという珍しいスタッフ編成だが、ほとんど高野宏一のようにオーソドックスな特撮演出で安心して観ていられる。怪獣から逃げる村人の合成カットの中にはちゃっかりと村石監督の姿が・・・
コロナモードが容赦なく怪獣カオスバグを撃破するカタルシスはやはり貴重だ。
しかし、せっかくフブキ隊員が第二の故郷ともいうべき村に帰ったのに村人との交流が全く描かれないのは解せない。このシリーズはレギュラー以外の登場人物が少なすぎはしないだろうか?
#6「怪獣一本釣り」
脚本/増田貴彦 特技監督/村石宏實 監督/市野龍一
移動する地震源の正体は地底怪獣モグルドンだった!怪獣を地中から追い出すためライドメカの連携による怪獣一本釣り作戦を提唱するドイガキ隊員だったが、苦手な機体を操縦して作戦を担当するよう命じられたからさあ大変。カツオの一本釣り漁師の父を持つドイガキは父親を超えることができるのか?
モグルドンの人を喰った脱力系デザインもさることながら、増田貴彦の快作シナリオを得た市野龍一のコメディ演出が心地よく弾み、誰しもがウルトラマンタロウを想起することだろう。
今回のシリーズは今までの平成ウルトラシリーズと異なり、監督と特技監督を分任する方針らしいが、ということは北浦嗣巳は特技監督を担当しないということなのだろうか?
#7「空からのプレゼント」
脚本/武上純希 特技監督/八木 毅 監督/小中和哉
ある日、3つの隕石が飛来し、そのうちの一つからピグモンそっくりのミニ怪獣ミーニンが姿を現して子供達と仲良くなる。ところが、隕石の中に入っていた装置を不用意に起動したためガラモンそっくりの巨大な怪獣ガモランが出現して街を襲う。ミーニンは小さな身体でガモランの進撃を阻止しようとするが。
なんだかまったくやる気の感じられないお話で、ライドメカのCGの使い方は及第点だがドラマ的には観るべき点は少ない。
今回のシリーズはウルトラシリーズの原点に還ることらしいが、人気怪獣やエピソードの安易な焼き直しでは困るぞ。
#8「乙女の眠り」
脚本/川上英幸 特技監督/八木 毅 監督/小中和哉
アヤノ隊員に取り憑いた怪獣インキュラスは彼女を死に至る眠りに縛り付ける。ムサシはコスモスとなって彼女の夢の世界に潜入する。
ティガの秀作「眠りの乙女」をひっくり返しただけの安易なタイトルからしてやる気が見えないし、コスモスと怪獣の対決にしてもせっかく夢の世界というユニークな設定なのにそれがアクションに生かされず、八木毅の演出姿勢にも意欲が見えにくい。
正直言って、このエピソードを二度と観ることはないだろう。
#9「森の友だち」
脚本/武上純希 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
山でヤマワラワと呼ばれる伝説の妖怪と仲良くなったと語る少年は父親(石橋保)に現実だけに目を向けるよう叱られる。だが、巨大なヤマワラワが現実に出現したとき、父親は少年の頃ヤマワラワに出会っていたことを語り始める。
原田昌樹なので、それなりの期待を込めて見守ったのだが、武上純希の脚本では多くを望めないということか。ありきたりの分かり切った着想を平凡に物語る芸の無さで原田昌樹の詩情の入り込む余地もない。太田愛の参加を強く望みたい。
#10「青銅の魔神」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
#11「動け!怪獣」
脚本/西園 悟 特技監督/北浦嗣巳 監督/北浦嗣巳
トンネル工事現場に出現し、一向に移動しようとしない怪獣に対し、EYESによる奇抜な作戦が展開されるが、付近に点在する恐竜の化石がカオスヘッダーの影響で実体化したものという仮説に基づいて、ムサシはある作戦を立案する。だが、その矢先に工事担当者の仕掛けた爆弾で怪獣ムードンは地上に出現してしまう。
ある意味で大変コスモスらしいといえる底抜けのコメディ路線かと思いきや、後半は切々と情に訴える怪獣浪花節へと変調するなかなかの曲者エピソード。
ただし、制作費の少なさがあまりにも顕著なので見ていて辛い部分があるし、おかげでせっかくの北浦嗣巳の特撮演出にも多くを期待できない。怪獣とEYESの隊員たちを合成したクライマックスの画面構成の巧さなどはさすがに北浦節といえるのだが。次回は相当の大合成大会になるようなので、ちょっとだけ期待して待とう。
#12「生命の輝き」
脚本/武上純希 特技監督/北浦嗣巳 監督/北浦嗣巳
突如出現した怪獣はたった一日で生命を燃やし尽くす蜻蛉のように儚い命を宿した怪獣だった。そのことを知ったEYESは統合防衛軍の放ったミサイルを粉砕すべく飛び立つが・・・
死に場所を求めて日本に上陸してくる怪獣の最期の姿を静かに見守ってその荘厳さに隊員たちが深く心打たれるというプロットは私自身も考案していたのだが、今回の武上純希の脚本は、怪獣のたった一日の命の持つ意味を問いかけるために周到な構築を施して、今までのやっつけ仕事が嘘のような傑作に仕上がっている。おそらくこのシリーズの最高傑作となるに違いない。
怪獣の姿を人間の一生に重ね合わせるためにスフィンクスのなぞなぞを援用し、さらに幼くして亡くなったフブキ隊員の妹のエピソードを絡ませて、たとえ短く儚い命であっても生きることにはすべて意味があることを無理矢理にでも導き出そうとするその作者の強い意志に感動を禁じ得ない。
なにしろたった20分ほどのドラマで生きることの意味を問いかけようという気宇壮大な脚本だから、あるいはケチを付けようと思えばいくらでも付けられる代物ではあるのだが、そんな些細なあら探しをすることの卑小さを恥じ入らせてしまうほどの志の高さを備えて、観客を挑発している。
北浦嗣巳の合成演出もやっと本調子を見せ始め、ミサイルとの激しい空中戦のシーンなどはまさに独壇場。怪獣の振り付けがあまりにも人間めいているのが難点だが、怪獣の成長と人間の一生を重ね合わせるところに脚本の工夫があるわけだから、ある程度はやむをえないだろう。
円谷プロの映像制作会社としての誠実さが具現化した記念碑的傑作と断言しておこう。
#13「時の娘(前編)」
脚本/太田 愛 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
待ちに待った太田愛&原田昌樹のゴールデンコンビによる前後編の登場。まずはスタッフの意欲が窺える布陣である。
宇宙生命体に追われる記憶喪失の娘レニ(三輪ひとみ!)を助けたムサシは次第に彼女のミステリアスな雰囲気に魅せられてゆくが、その頃EYESの解析により彼女の秘密が明らかになっていた。
現在日本におけるジャンル映画の女王と言っても過言ではない三輪ひとみをゲストに迎えるという秘策がいかなる果実を結ぶのか、それは次回の後編を待つしかないのだが、冬木透の既存の楽曲ではなく繊細なピアノ曲を中心に構成した音の演出が原田昌樹の筋の良さを際だたせている。
ただし、ビデオ撮影による本編のキャメラワークや構図に平成シリーズ当初の切れの良さが薄れ、得意のはずのロケーション撮影が冴えないのは制作予算の縮減の影響なのだろうか?
#14「時の娘(後編)」
脚本/太田 愛 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
宇宙生命体の妨害工作により怪獣捕獲に失敗したEYESは出動停止処分となる。失踪したレニを探し出したムサシは、怪獣との共存という夢の挫折を語るが、レニはかつての科学上の発見の例を引きながら「不可能なことなどない。夢見た夢を継いでゆくことが大切なのだ」と諭すのだった。そして、宇宙ステーション建設中に不慮の事故を遂げたレニに疑似生命を与えて操る宇宙生命体を粉砕する闘いに、ムサシは飛び立つ。レニを自分の夢見た場所へ連れ戻すために。
レニが「時の娘」と呼んで完成を夢見た有人宇宙ステーションの姿を垣間見ながら二度目の死を迎える場面などつい涙腺が刺激されてしまうが、レニのエピソードをムサシの夢の挫折を乗り越えさせるための道具として使ってしまったという印象が拭えず、むしろレニとムサシの二人の人間の残酷な宿命に翻弄される愛と死を太田愛らしい詩情で彩ったドラマが観たいという気持ちが捨てがたい。
なにしろせっかく原田昌樹の演出なのだから、まるで実相寺組のような様式美を取り入れたクライマックスの戦闘シーン等それなりに力の入った特撮演出も捨てがたいのだが、子供に見せるTVドラマだからこそ、レニの死をもっと冷徹に突き突けるべきではなかったかと思えてならない。
その印象は「生命の輝き」の時と全く同じなのだが、このシリーズが命の問題をテーマに据えた時点からこうした困難な表現の有りように一定の解答を見つけるという宿題を自ら進んで抱え込んでしまったわけだから、この1年の間に円谷プロのスタッフは相当呻吟することになることは確実だ。しかし、そうしたハードルの高さこそ、円谷英二生誕百周年記念作品に相応しい意気込みではあるに違いない。
#15「深海の死闘」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/市野龍一
怪獣保護のために深海に張られた電磁シールドの点検に向かった春風コンビは突如表れたカオスヘッダーの影響で狂暴化した深海怪獣に襲撃され、浮上不能の危機に追い込まれる。
フブキ隊員の空手大会における過去の奇妙なエピソードが明かされ、オチに繋がる軽妙さがそれなりに心地よい一編だが、海底での戦闘シーンにはまだまだ工夫の余地があるはずで、かなり細やかに気泡を合成していたりする辺りは心強いのだが、佐川和夫らしい豪快で奇想天外なアクションをもっと期待したいところだ。
#16「飛ぶクジラ」
脚本/長谷川圭一 特技監督/佐川和夫 監督/市野龍一
巨大な空飛ぶクジラが出現し、少女の歪んだ夢にカオスヘッダーが取りついて、実体化したものと判明する。
カオスヘッダーが怪獣たちだけではなく、人間の心にも取り憑くことが明らかとなるエピソードだが、空飛ぶクジラという着想にしろ、心の傷ついた少女の怨念が実在化するというプロットにしろ、あまりにも古色蒼然とした脚本で、ティガで鮮烈な脚本家デビューを飾った長谷川圭一の引き出しが既に底をついてしまったという印象を改めて強くしてしまった。
バラエティ豊かな佐川和夫の特撮アクションは健闘するが、あまりにメルヘンチックで動きの悪いCGIの空飛ぶクジラがこのエピソードの限界を如実に示した格好だ。
#17「異次元の罠」
脚本/武上純希 特技監督/村石宏實 監督/村石宏實
キャップの旧友の天才科学者(なんと原久美子!)が勤務するSRCの研究所を乗っ取った謎の敵を探るため、キャップとムサシが潜入するが、出現した異次元人ギギによってミクロ化されてしまう。
ドラマとしても特撮演出的にも見るべきところがない凡作。原久美子も全く天才科学者には見えず、コメディにしかならないぞ。
巨大化したギギとの格闘を珍しく高い位置から捉えたカットが往年のダダとウルトラマンの戦闘シーンを彷彿させる。このあたりは、明らかに演出家の狙いだが、だからどうした?という感じだ。
#12〜#14のあたりで突如高揚したこのシリーズだが、その後の落差が大きすぎるような気がするぞ。真面目にやろう!
#18「二人山伝説」
脚本/川上英幸 特技監督/村石宏實 監督/村石宏實
休暇で東北の片田舎にやってきたシノブリーダーは想いを寄せるかつての上司(黒田アーサー)を訪ねるが、ダム建設のために封印を解かれた怨霊鬼・戀鬼が出現し、二人の前に立ちふさがる。
戀鬼の造形がかなり怖いのでちょっと期待したが、期待はずれの結果に終わった。シノブリーダーを主人公としたちょっと大人の恋愛ドラマを目指したが、戦争に引き裂かれた戦国時代の恋人たち化身した戀鬼に向かって「人を愛することは苦しいことなのよ」と語りかけるクライマックスには腰が抜ける。そんなことウルトラマンでやってどうする?どうもこのシリーズのプロデューサーには疑問を感じるのだが。
次回からは脚本に円谷映像からの人脈が流れ込んでくるようだが、そのことが新しい刺激になるのか、さらなる路線の混乱を招くことになるのか、注視したい。
#19「星の恋人」
脚本/梶 研吾 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
廃棄された軍事衛星が通りがかった宇宙船を誤爆する事故を起こす。そのころアヤノ隊員は謎の青年に一目惚れするが、彼は施設見学中にEYESの司令室を占拠しようとする。彼は何者で、何を成そうとするのか?
ムサシが「復讐や破壊は何の解決にもならない」と叫ぶ、あまりにも時局的にタイミングが良すぎるエピソードだが、脚本自体は相当以前から用意されていたはずで、このシリーズの企画意図が決して誤ってはいなかったことを証明することになるだろう。
前回に引き続いて隊員の恋愛ネタというのは如何なものかと思うが、脚本への新しい血の導入はとりあえずはシリーズの活性化に貢献しそうな気配だ。
#20「ムサシの空」
脚本/林壮太郎 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
新開発のテックブースターのテストのため宇宙開発センターに復帰するよう要請されたムサシはEYESを後にするが、特殊エネルギーの波動に引き寄せられた怪獣ボルギルスが出現する。怪獣を保護し、テックブースターを守るため、ムサシは再びEYESと共に闘うことを決意する。
ムサシがEYESを辞めて宇宙開発センターに舞い戻るというエピソードだが、時間的な制約のもとで離別と復帰の物語を紡いでも何の感慨も湧かないのは無理もないことだろう。こうしたエピソードはせめて前後編で展開しないと無理がある。
ライドメカの描写に積極的に導入されたCGIの見せ方が巧く、操演では表現しにくい怪獣との絡みのスピード感や困難な飛行コースを鮮やかに表現した特撮演出には八木毅の意欲が感じられる。やはりネオスの後のシリーズならこれくらいのレベルを維持してもらわないと困るのだ。
#21「テック・ブースター出動せよ(前編)」
脚本/梶 研吾,林壮太郎 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
#22「テック・ブースター出動せよ(後編)」
脚本/梶 研吾,林壮太郎 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
敢えて粗筋を記す気にもならない凡作。
せめてファイアーマンのエピソードのように、地球に接近する遊星がそれ自体一個の生命だったというくらい奇想天外なアイディアの一つくらい盛り込まないと前後編は持たないだろう。
佐川和夫の特撮演出も制作予算の制約で奇抜な見せ場が設定できず、典型的なルーチンワークに終始する。
#23「ルナ対ルナ」
脚本/荒木憲一 特技監督/佐川和夫 監督/北浦嗣巳
これまた、敢えて梗概を記録する気にもならない凡作なので、困ってしまう。
何故か佐川和夫ばかりが登板するのも制作予算管理のためという舞台裏が見え見えといった有り様で、特撮的な見所はほとんどないし、巨大な怪獣が出現する必然性も全くないという困った作品。
ただし、ゲスト出演の懐かしい江藤潤やオカルト女子大生役の清水真実を生かしたコミカルな場面は北浦嗣巳の健闘が窺える。
このシリーズは、本当にエピソードによる出来不出来の落差が大きすぎるぞ。なんだか、観ていて疲れるなあ。
#24「ぬくもりの記憶」
脚本/右田昌万 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
アヤノ隊員が昔会ったことのある少年と再会し、再び彼を勇気づけることになるとういう「心温まる」エピソードだが、めったやたらと隊員の回想シーンばかり設定するのはいい加減にやめて貰いたいものだ。安易に回想シーンなんて書くなというのが、脚本術の基本だったはずだが、どうも文芸担当者やプロデューサーにそうした意識が欠如しているのではないか?
#25「異星の少女(ひと)」
脚本/増田貴彦 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
異星から送り込まれた少女(ベッキー)は地球人を攻撃的な人類だと断じ、攻撃ロボットを起動しようとするが・・・
肝心のプロットよりも、女好きのセクハラ医師(影山茂樹)の無茶なキャラクターのおかしさの方に焦点がシフトしてしまった不思議な作品。単純に失敗作とも言う。
ただ、特撮演出は大盤振る舞いで攻撃ロボットの変形やコスモスとの格闘シーンにCGIがふんだんに投入され、防衛軍の戦車部隊ベンガルズの出動の意欲的な合成カット等も含めて実に贅沢な仕上がり。原田昌樹の特技監督としての技量はもはや村石宏實を凌駕している。
しかし、原田昌樹の資質を正しく生かせる脚本を用意する必要がある。このシリーズは脚本の出来にばらつきが大きすぎるのだ。
#26「カオスを倒す力」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/北浦嗣巳
遂にカオスヘッダーが人間の形を借りた姿で登場するが、利用した人間の心の動揺によって呆気なく敗れ去る。
どうにもお座なりな筋立てで実にバカバカしいエピソードになってしまった。特に感想も無し。
#27「地球生まれの宇宙怪獣」
脚本/前川 淳 特技監督/高野敏幸 監督/市野龍一
子供を産むために地球に飛来した怪獣を海に誘導するため、EYESの懸命の作戦が開始される。
脚本的に苦しいところが散見されるが、市野龍一監督の作風にも合ったコスモスらしいほのぼのとした物語で案外悪くない。
特撮演出には特に意欲的な部分が見受けられないし、予算の苦しさが観ている方にまで伝わってくるスカスカの舞台装置には目頭が熱くなるというものだ。
#28「強さと力」
脚本/大西信介 特技監督/高野敏幸 監督/市野龍一
怪獣保護の姿勢を貫くためには力が必要なんだと思いこむムサシは人が変わったように強硬手段に打って出ようとするが、隊長は力と強さは同じではないと諭す。折しも出現した怪獣から強力な力でカオスヘッダーを分離することに成功するコスモスだが、肝心の怪獣の命を奪う結果に・・・
前回とは打って変わったシリアス篇で、ムサシのキャラクターまでが急に変調するのは不自然だが、コスモスのテーマに深く斬り込んだ力作なので大目に見よう。
ただし、前向きな姿勢が見られない特撮演出には失望した。次回の佐川和夫が再登場する同じ怪獣をいかに料理するか、その手際を見比べれば、その力量の差が明らかになるだろう。
#29「夢見る勇気」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
前回に引き続き悩み迷いながら闘うEYESとコスモスの姿を正攻法に描いた力作だが、次回のバージョンアップのための出来レースといった雰囲気が濃厚で、なんだかコスモス最大のピンチも白々しい気がするぞ。
佐川和夫の特撮演出はさすがに高野敏幸とは比較にならないエネルギッシュなものだが、どう見ても予算の厳しさが露骨に見えてしまう特撮セットというのは、いかがなものか?
そういえば、川崎郷太が参加するという噂は一体どうなってしまったのか?ここらで、気合いを入れ直してもらわないと、シリーズ後半が持たないぞ。
#30「エクリプス」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
光を失って倒れたコスモスにカオスへッダー・メビュートが迫る。危機一髪、その時リドリアスがムサシたちを助けるために飛来した!だが、ムサシたちは再びコスモスに力を与えることができるのだろうか?
バージョンアップ三部作の最終篇だが、一体何がコスモスを復活させたのか(しかもバージョンアップまで伴って)意味が分からないのだが、いいのかこんな脚本で?
エクリプスモードのコスモスの獅子奮迅の大活躍はウルトラマンの醍醐味を想い出させる豪快な佐川演出が久々に炸裂する。こういう単純なシチュエーションでウルトラマンの格好良さを見せつける演出はさすがに佐川和夫の右にでる者はいないだろう。ムサシたちに迫るメビュートをオープンセットで仰ったカットなどやはり画の持つ説得力が違う。
予告編を観る限り次回の「ゴンを救え」の特撮には相当力が入っているようだが、監督は一体誰だ?
#31「ゴンを救え」
脚本/武上純希 特技監督/村石宏實 監督/村石宏實
カオスヘッダーが取りついたクレバーゴンは巨大化しクレイジーゴン(笑)に変貌する。ムサシはゴンを救うことができるのか?
久々の村石宏實による特撮演出は意欲的な合成カットの数々に感心するが、その他には見るべきところがない。
次回は怪獣ランドと化した鏑矢島でEYESと防衛軍が小競り合いを繰り広げるお待ちかねの一編。予告編を見る限りではなかなかの力作らしいぞ。
#32「悪夢の実験」
脚本/山本 優 特技監督/村石宏實 監督/村石宏實
鏑矢島に保護された怪獣に対して防衛軍開発の新型麻酔弾のテストを実施するよう命じられたムサシが逡巡するうち、狂暴な怪獣が出現し市街地に迫る。怪獣が狂暴化した原因を探るうち、意外な事実に突き当たる。
何故か村石宏實が円谷プロ特撮の意地を見せた力作。これを観るとコスモスの特撮演出が如何に生ぬるいものであったかよくわかる。佐川和夫と北浦嗣巳が時折意気込みを見せるが、ティガからガイアへと上り詰めていった特撮表現がコスモスで一気に後退したことへの危機感が村石宏實を発憤させたに違いない。
あまりにも戯画化された統合防衛軍の表現にはもう少し真実味が欲しいところだが、これまでに捕獲された怪獣たちの顔見せも賑々しく合成カットもサービス満点の大盤振る舞いだ。
#33「怪獣狙撃手」
脚本/梶 研吾,林壮一郎 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
妹を怪獣災害で失った防衛軍のエリートが怪獣ハンターとして、EYESにの前に立ちふさがる。
あまりにもありふれた陳腐な人物設定で、いまさらこんなエピソードを見せられても困ってしまう。
八木毅の特撮演出にも覇気が感じられないのだが、正統派の暴れん坊怪獣の凛々しい立ち姿だけが唯一の見所。
猛り狂う怪獣を前に延々とディスカッションを繰り広げる主人公たちの姿をカットバックした空間演出の拙さは失笑を誘う。
#34「海神の怒り」
脚本/林壮一郎 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
海を汚す人類に怒った海神が復活し地上を焼き尽くそうとする、という全く何の工夫もない脚本に唖然。全くやる気の見えない一作。
天然ボケの女性研究者のおとぼけぶりが唯一の救いという、全く困った作品だ。撮りきりの海底シーンというのも、手抜きにしか見えないのだが。もっと凝ってもらわないと困るよ、八木君。
#35「魔法の石」
脚本/川上英幸 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
人間から超人的な能力を引き出す不思議な石は、その代償として人間の感情を吸収していた。
脚本的には何の感想もない凡作だが、怪獣(?)ラグストーンの硬質な造形が秀逸で、近年とみに特撮演出に進歩を見せる原田昌樹の特撮部分の楽しさだけが救いとなっている。
前景部分の町並みだけはミニチュアのジオラマで再現して広がりを演出するお馴染みの手法もこのシリーズではあまりお目にかかれず、ほとんどいつも何もない平原での格闘ばかり見せられてきたのだが、ここに来て村石宏實や原田昌樹が円谷プロの意地を見せて相当復調してきたようだ。
#36「妖怪の山」
脚本/武上純希 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
妖怪ヤマワラワが再び現れ子供たちと友だちになっていたその頃、謎の怪獣マハゲノムが出現し、子供たちの山に迫る。
武上純希のやる気の見えない脚本をなんとか観られるものにしたのは原田昌樹の演出のおかげだが、なまはげをモチーフにしたマハゲノムのデザインは円谷プロというよりも、ピープロの世界に近いグロテスクさ。
次回はあの鈴木健二が特技監督として参加するらしいので、ちょっと期待して待とう。
#37「フブキ退任!?」
脚本/前川 淳 特技監督/鈴木健二 監督/市野龍一
フブキが1年前に特殊ミサイルを打ち込んだものの不発で取り逃がした怪獣テールダスが再び出現する。街に迫る怪獣に対して”殺してしまえ”という気持ちが一瞬脳裏をよぎったことを恥じたフブキはEYESを離脱するが。
特殊ミサイルの実物大のプロップを作ってしまったために、特撮班の予算が削減されてしまったという円谷プロの内情がそのまま画面に現れた微笑ましい作品。
いかにも鈴木健二らしい全く拘りの見えない割り切った演出ぶりが却って清々しい空気を運んでくるから不思議。
#38「オヤジ星人」
脚本/増田貴彦 特技監督/鈴木健二 監督/市野龍一
市野龍一の持ち味がよく発揮されたコミカルな演出が快調な佳作。
こうした作品にコスモスの美点が集約されているように思う。特撮的な面白味には乏しいが、鈴木健二のサバサバしたカッティングにはある意味で懐かしいウルトラの味わいを想起させる部分がある。
#39「邪悪の光」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
ムサシを狙ったカオスヘッダーはウルトラマンの情報を読みとってカオスウルトラマンとなってEYESの前に立ちふさがる。
陳腐なプロットと意欲のうかがえない特撮演出で、まったく見所のない凡作。
#40「邪悪の巨人」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
ムサシとウルトラマンの関係を知ってムサシを光の繭の中に閉じこめたカオスヘッダーは鏑矢島の怪獣たちをカオス化しようとするのだが・・・
カオスネルドラントとカオスウルトラマンを相手にコスモスが奮闘する後編だが、相変わらず予算的制約の枷が重くのしかかって特撮的な見せ場に乏しい凡作に終わっている。このシリーズではほとんどの主戦場が野原なのだが、その中に特徴のあるデザインで単調さをカバーしようとする意欲さえ感じられないのは、全く困ったものだ。
#41「緑の逃亡者」
脚本/荒木憲一 特技監督/佐川和夫 監督/石井てるよし
特に何も書く気が起こらない凡作で、特撮演出も低調の極み。
#42「ともだち」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/石井てるよし
異星にひとり取り残されたエイリアンと孤独な地球の少年がネットワークを通じてともだちになるというプロットは悪くないが、複雑な設定を多量のナレーションに頼った脚本には疑問が残る。
予告編を観る限り、次回の村石組には期待できそうだ。ちゃんとミニチュアセットが組まれているぞ!
#43「操り怪獣」
脚本/川上英幸 特技監督/村石宏實 監督/村石宏實
怪獣をメカレータ化して操縦するノワール星人は地球人は何故怪獣を資源として活用しないのかと訝るのだった。
テールダスの出現シーンのミニチュアワークやクライマックスでのメトロン星人を思わせる夕焼けの決闘シーンに久々の拘りが見て取れるが、エピソードとしては中途半端で、古びた銭湯でのロケなども映像の凝り方と物語が齟齬を来している。要は脚本の詰め方が生ぬるいのだ。
#44「ギギVSゴン」
脚本/武上純希 特技監督/村石宏實 監督/村石宏實
異次元人ギギが再びこの世界に侵攻を企てていることを警告したギギ人の科学者はコスモスのピンチにゴンを巨大化させる。
巨大化したゴンの活躍には腰が砕けるが、意外にも盛りだくさんの趣向が楽しい水準作と呼ぶべき作品。
#45「遊園地伝説」
脚本/右田昌万 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
遊園地ファンタジーランドの閉鎖が決定し、遊園地に棲む妖精のような怪獣ムゲラの行く先を少年が心配している頃、宇宙の彼方のワームホールから出現した巨大な物体が地球に接近していた・・・
着想は悪くないのだが、例によってアヤノ隊員の幼い頃の想い出話に遡ってゆく構成はいい加減にやめてほしいものだし、設定の骨組みが提示されるだけでちっともドラマになっていないのは酷いと思うのだが、クライマックスのCGIには異様に力がこもっており、ちょっと感心する。
#46「奇跡の花」
脚本/林壮太郎 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
山村に遺跡調査に向かったドイガキ隊員の彼女が記憶喪失に陥る。一方、村には昔から宇宙人が平和的に住んでいたのだが、宇宙花の発する毒素を吸収した副作用で巨大化して暴れ出す。
ドイガキ隊員と天然ボケが可愛い女性科学者(堀江菜々)とのロマンスのほうが優先されて、地球人と平和的に共存する宇宙人(角田英介)のエピソードが単なる設定の紹介に終わってしまい、ドラマになっていないという、いつもながらのコスモスらしい中途半端さが歯がゆい。
宇宙人のデザインも悪くなかったので、ちゃんと宇宙人を主役に据えたドラマを見せて欲しかったものだ。せっかく角田英介を呼んできたのに、この脚本では演じ甲斐がないというものだ。
#47「空の魔女」
脚本/鈴木 智 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
#48「ワロガ逆襲」
脚本/右田昌万 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
#49「宇宙の雪」
脚本/大西信介 特技監督/鈴木健二 監督/市野龍一
宇宙空間で、謎の生命体スペーススノーを発見したその頃、地上に出現した狂暴な昆虫型怪獣は余命わずかで今にも息を引き取ろうとしていることが判明する。
ネタバレになってしまうので、詳しくは書けないが、人間の役に立つかどうかという点から攻撃対象とも保護対象ともなってしまう怪獣の存在を浮かび上がらせたなかなかの力作。なんでも大西信介がウルトラマン80の頃に提出したプロットが陽の目を見たものらしい。
せっかく特撮美術に三池敏夫が参加したというのにミニチュアワークは貧弱なのが、予算の無い哀しさだが、ラストカットの振り上げたキャメラワークにぴったりと立体的にマッチムーブしたCGI合成が意欲的で、大いに結構。
#50「コスモス最大の危機/特別総集編1」
脚本/梶 研吾 構成/川上英幸 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
円谷プロが意地で作り上げたムサシの登場しない特別総集編だが、そのおかげで全くドラマらしいドラマが無いばかりか、カオスヘッダーが送り込んだ偽ウルトラマンとコスモスが貧弱なセットの中で延々とプロレスを繰り広げるという特撮的にも全く見所のない、つかみ所のない作品に仕上がってしまった。
おまけに、この偽ウルトラマン、やたらと頭部が大きいため、コスモスが悪い子供を虐めているように見えてしまうという困ったオマケもついている。
しかも、おそらくオリジナル版も同程度の仕上がりだろうと予想させてしまう材料ばかりが目に付き、なかなか好意的な意見を述べる気にはなれないのだが、こうした歪な形にせよ、物語が一応の完結を迎えることができることは素直に喜びたいと思う。
そもそも吹けば飛ぶような一零細企業に過ぎない円谷プロだが、今回の件についてはよく踏ん張ったと思う。放送打ち切りに対する抗議が殺到した事実も今までの作品作りに込めた誠意がちゃんと視聴者に伝わっていたことを示しているわけだし、スタッフと視聴者がともにコスモスというシリーズを完結させようと共闘する関係を築くことができたことは創始者円谷英二の最も歓びとするところだろう。
次回、ムサシのいない最終回にどれほどの思いを込めることができるのか、編集の魔術に期待したい。
#51「コスモス最後の戦い/特別総集編2」
脚本/大西信介 構成/川上英幸
オリジナル版特技監督/佐川和夫 オリジナル版監督/根本実樹
総集編監督/八木 毅
やはり2本の作品を1本に再編集したものらしく、最終回に相応しい佐川和夫のダイナミックな特撮演出が堪能できる力作になっている。
なにしろ、ムサシの登場するエピソードが全てカットされているので、ドラマもなにもあったものではないが、カオスヘッダーの目的が明らかになり、コスモスに相応しい結末を迎えるのは当然のこととはいえ、一種の清々しさを感じないわけには行かない。
しかし、真の結末は未公開の十数本のエピソードが全て陽の目を見たときにはじめて明らかになるべきもので、流言飛語に惑わされず、今はただその日が訪れるのを静かに待ちたいと思う。
#52「カオスの敵」
脚本/梶 研吾 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
カオスヘッダーを補食する怪獣が出現、その秘密を探るためEYESは生け捕り作戦を開始するが、怪獣は防衛軍の弾薬庫に向かう。防衛軍は最終兵器ダビデス909で怪獣の抹殺やむなしとの結論に至るが・・・
脚本、演出とも水準作といえる力作。佐川和夫の特撮演出も手慣れた技法を駆使して、ダイナミックに見せる。洋式トイレのような頭部のギミックを持った怪獣のデザインも個性が明快でいかにもコスモスらしいといえるだろう。
シリーズの結末に直結する重要なエピソードだけに、やっと陽の目を見たことを歓迎したい。しかし、鈴木健二の特撮が凄そうな「怪獣密輸?!」はビデオの発売を待つしかなさそうだな。
#53「未来怪獣」
脚本/荒木憲一 特技監督/佐川和夫 監督/石井てるよし
突如出現した時間を操作する怪獣は未来から来た超進化怪獣だった。その特殊能力に目を付けたノワール星人が引き渡しを要求するが・・・
時間を操って危機を脱する未来怪獣の設定とユニークな造形は見物だが、物語自体はシビアになりきれず中途半端な結末になってしまうのは、このシリーズの弱みだろう。
すっかりお馴染みのタイムスライスの表現はご苦労様だが、特撮演出的には突出した部分が無く、ごく平凡な仕上がり。
#54「最終テスト」
脚本/武上純希 特技監督/村石宏實 監督/村石宏實
突然現れた宇宙人は人類に対する最終テストとしてミーニンを再びガモランに変貌させる。果たして、人類とコスモスは宇宙に暮らす知性体としての資格を得ることができるのか?
隊長とサワグチ女史(原久美子)とのすれ違いのドラマを並行して提示する盛りだくさんの内容だが、村石監督の特撮演出が冴える一編でもある。高野敏幸とか八木毅といった若手演出家も村石監督や原田昌樹の特撮演出の長足の進歩を見習ってほしいものだ。
次回はなんと天本英世がゲスト出演だぞ!
#55「雪の扉」
脚本/太田 愛 特技監督/原田昌樹 監督/原田昌樹
忘れがたい想い出を呼び戻すため雪の扉を開こうとする老人(天本英世)と知り合った少年が一つの挫折を乗り越えて人生の新たなスタートを踏み出すまでを描いた太田愛&原田昌樹のゴールデンコンビによるファンタジー。
太田愛の脚本も台詞任せのラジオドラマ風の作劇で、ロケ上手の原田昌樹の持ち味が十分に発揮されたものではないだろう。真夏の雪というせっかくのモチーフも映像的には十分に昇華されておらず、このコンビならではの詩情が意外にも希薄なのが惜しい。
しかし、ラストの少年のモノローグなど、いかにも太田愛らしい含蓄のあるメッセージになっており、幼児ではなく、中学生や高校生にこそ観られるべき作品となっている。
#56「最大の侵略」
脚本/梶 研吾 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
カオスヘッダーの史上最大の侵略が開始された。地球に降り立ったカオスウルトラマンはカオスキメラを合成中の研究所を目指して侵攻を始めたのだ。必死の応戦をするEYESは壊滅の危機に瀕するのだった。
改めて完全版を観ると、ちゃんと緩急が意識されており、クライマックスに向けて着実にサスペンスを積み上げてゆく。ただし、カオスウルトラマンというキャラクター自身に魅力が乏しいので、特撮アクションも平板に流れがちだ。
#57「カオス大戦」
脚本/梶 研吾 特技監督/八木 毅 監督/八木 毅
倒されたと思われたカオスウルトラマンはカラミティへ変貌してコスモスを苦しめるが、カオスキメラの試作品が完成する。今こそ形勢逆転の好機だ。
カオスウルトラマンの身体の模様が変わってカラミティというお手軽すぎる敵役と延々繰り広げられるアクションの冗長さは観るに耐えない。
ムサシ、アヤノ、コスモスの変貌ぶりがドラマの見所だが、肝心のカオスヘッダーの攻勢がこの程度では全く切迫感が感じられない。
#58「禁断の兵器」
脚本/増田貴彦 特技監督/鈴木健二 監督/市野龍一
防衛軍は異星人の侵略兵器へルズキングを回収し、対カオスヘッダー用の最終兵器として改造していた。ところが起動テスト中にヘルズキングが暴走を開始する。
カオスキメラの増産計画と絡めた水準作で、近来の副官の何かに憑かれたような暴走ぶりにさすがに危機感を抱き始めた防衛軍司令官とムサシが意気投合してゆくという展開が巧い。
#59「地球の悲鳴」
脚本/増田貴彦 特技監督/鈴木健二 監督/市野龍一
カオスキメラの合成に成功したEYESはカオスウルトラマンをおびき出して殲滅する作戦を実行に移すが、ムサシは本当にそれ以外の方法はないのか、まだ迷いの中にあった。
低予算のなか鈴木健二の意欲的な合成カットと人を喰った演出が楽しい力作なのだが、コスモスが地球にやってくる前に他の惑星でカオスヘッダーと闘って敗北していたことが明らかになるという衝撃的な告白をぬけぬけと語ってしまう問題作でもある。
こうしてムサシの逡巡ぶりをつぶさに観てくると、総集編でのあの決着の持つ重みが増してくるから不思議だ。このあたりのなかなか念入りなシリーズ展開は侮れない。
#60「カオス激襲」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
#61「月面の決闘」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹
#62「真の勇者」
脚本/大西信介 特技監督/佐川和夫 監督/根本実樹