OTSUYU/怪談牡丹灯籠
1999/ビスタサイズ
(2000/2/13 V)
原作・三遊亭円朝 脚本・本調有香
撮影・江原祥二 照明・土野宏志
美術・原田哲男 音楽・中川幸太郎
特殊メイク・原口智生 特殊効果・亀甲船
特技監督・小林浩一
CG制作・オムニバス・ジャパン デジタルエフェクト・フロントライン
監督・津島 勝
戦国、江戸、現代と時を超えて生き変わり、死に変わり愛憎劇を繰り返す男女の怪奇劇を情感豊かに描き出す松竹京都映画制作のVシネマで、低予算ながら特殊メイクと操演には一流のスタッフを迎え、あろうことか特技監督まで立てた意欲作。
今回の牡丹灯籠の脚色は、輪廻転生を繰り返しながら愛し合い、滅ぼしあう男女の業を強調したところにあるだろう。また、山本薩夫の決定版的名作「牡丹燈籠」と異なり、お露とその妹が新三郎を巡って三角関係に陥り、それが原因で姉妹が共に命を落とすことになるという脚色が施されているのだが、この部分の作劇はあまりに唐突な展開で全く説得力がない。姉妹の愛憎劇ほど怪談映画に相応しい趣向はないと思うのだが、この映画は脚色の時点で失敗している。
また、せっかく実力派のスタッフを揃えた割には特撮シーンの出来が粗末で、特殊メイクもさることながら、幽霊が宙を舞うシーンなどほとんど正視に耐えない。おそらく、津島勝を始めとする京都映画のスタッフが特撮の見せ方についてのノウハウを持ち合わせなかったのが災いしたのだろうが、実相寺昭雄率いるコダイから小林浩一が特技監督として参加した成果が全くみられないのは困ったことだ。デジタル合成のデザイン、見せ方も異様に下手くそだぞ。
しかし、注目したいのは津島勝の腰の据わった時代劇の演出ぶりで、大鶴義丹、夏生ゆうなというキャリアも実力もない俳優を使いながら、新三郎とお露の感情の高まりを雨と雷鳴でしっかりと刻みつけてゆく手法は常套手段ながらなかなかのもので、時代劇らしい情感豊かな江戸の時空間を創出してみせる。特に素晴らしいのが効果音の的確な挿入ぶりで、雷鳴の入るタイミングや音響そのものの演出効果は抜群。こうした部分は京都映画の時代劇作りの伝統がうまく機能しており、素直に感心する。また、津島勝という演出家がアクション派ではなく、実は情感派(?)であったことを初めて認識させられた。なるほど、「九ノ一」シリーズがつまらなかったのは、資質が向いていないからなのだ。